TPP コメ輸入自由化にまつわる論点まとめと私的結論


こんな記事を読みました。

TPPで1俵2200円の米がやってくる(農業協同組合新聞)
TPP関連の農家の主張がまったく同意できなくて萎える(やまもといちろうBLOG)
極貧やニートにとっては、米は高くて食えなくなっているという現実(大石哲之のnomad研究所)

TPPと農政、とくに米作の話題はたびたび議論に上っています。きっとこれからますます論争や政争が激しくなっていくんでしょうね。

上に挙げた記事では、農協新聞がコメ市場開放反対、残りの2記事が賛成の主張を述べています。これらの記事に対して、Twitterやはてなブックマークでは賛否入り乱れたコメントが錯綜しており、まさに百家争鳴の体をなしていてなかなか興味深いです。

私はといえば、自由経済主義にすっかり毒されておる関係で輸入障壁撤廃に賛成寄りなんですけれど、じゃあ日本から水田がなくなることを望んでいるかといえばまったくそんなことはなく、このアンビバレントな感情と対峙すべくTPPとコメ輸入化にまつわる議論をいくつかの論点に沿ってまとめてみようと思った次第。

なにぶん門外漢でありますので、抜け・漏れ・誤りなどございましたらご指摘いただきたい…と予防線を張りつつ、本題に入ってまいります。

現状の米作は産業として破綻しており、補助金などで保護するべきではない

第一の論点としてこちらから。米作は関税やら補助金やらでズブズブになって甘やかされているうちにすっかり競争力を失っており、もはや産業として成り立っていないんだから無理に守ろうとするんじゃない、というお話です。

考えてみれば、銀行や大企業などが破綻しそうになって税金が投入されると多くの人が怒るのに、恒常的に大量の血税が投入されている米作にはなかなか矛先が向かないのは不思議です。

ここらでいっぺん世間(自由市場)の荒波にもまれて、カイゼンでも業界再編でも進めやがれいという要求が出てくるのは至って自然なものだと思います。

米価が下がれば農家以外に利益があり、全体として効用が高い

安くごはんが買えるようになれば、大多数の人はハッピーだよね、という話。ここだけ切り出したときに反論できる人はいないでしょう。

なので、とっとと次。

食糧安全保障の観点から、主食であるコメの生産は死守すべきである

戦争が起きたり、人口爆発やらで食料が輸入できなくなったら危ないじゃん、という主張です。一見すると説得力があるし、この観点からコメの市場開放に反対している人が最も多い気がします。

でも、この主張って「農家を守れ!」という主張とは本来衝突するはずだと思うんですよ。だって、安全保障観点から考えるなら、肥料・農薬・燃料等の逼迫が予想される有事においても安定した生産を続けなければならないわけで、そのためには現在の小規模農家中心の生産体制を改め、もっと効率を上げるために農業の大規模化を進めた方がいい。コルホーズ万歳。

「食糧安全保障の観点から、米作産業は保護しつつ改革を進め、生産効率を向上すべきである」

という理屈なら正しいけれど、

「食糧安全保障の観点から、現状のまま小規模農家を手厚く保護・保存すべきである」

はどうにもスジが悪い。だいたい、1993年には燃料その他の資源が豊富だったにもかかわらず、『たかが冷夏だけ』でお米が足りなくなったじゃないですか。危なっかしくてしようがない。

だからどうも、この論を声高に唱える政治家さんや官僚さんは、票や利権目当てなのかなあと勘ぐってしまうわけなのです。

自然を守ろう

里山や、その山間に拡がる田園って、やっぱり日本人の心の風景だと思います。まるきりの自然でもなく、コンクリートに覆われた冷たい人工でもなく。ああいうものは、損得抜きにしてなるべく守りたいなあと思う気持ちは、私のようなゼニゲバでも共感します。

見た目だけの問題ではなく、そうした半人工の自然に寄り添ってできあがった生態系も存在するわけですよね。日本から水田が消え失せたら、同時に絶滅する生物もあるかもしれません。

伝統を守ろう

心の問題として。

日本人の多くがなんとなく感じているお米に対する信仰心ってあるんじゃないかなと。神社への寄進は「初穂料」だし、カミナリ様は「稲光」を落とす。88歳になれば「米寿」を祝い、昔話でお米を雑に扱うとバチが当たる。消費量が落ちたといってもお米にまつわるある種の神聖な雰囲気ってまだまだ賞味期限内なんじゃないですかね。

お地蔵さんや仏様にぼんやりとした畏れがあるのと同様に、神聖なるお米様を害する行為は心理的に抵抗が生まれるのやもしれません。まあ、これは時間の問題かもしれないですけれど。残念なのか、残念でないのか。

国土保全、防災観点から水田を保護すべき

最後に持ってきたけれど、結構大切な話で。専門家ではないのでわかりませんけれど、水田の貯水量っていうのはかなりのものらしく、水害の防止にかなり役立っているらしいんですね。

また、山肌に作られる棚田は山崩れや土砂流出の防止に一役買っているそうで、最近ではゲリラ豪雨に伴う災害なども増えていますし、もし水田がなくなっちゃったらもっとおっかないことになりそうだなあと。詳しくは適宜ググってください。

個人的には、島根県の棚田で作ったっていうお米を前に食べたことがあるんだけど、やたらにおいしかったのでアレがなくなるのは嫌です。

ぼちぼち散漫になってきたので結論に。

あくまで私見ですけれども、以下の感じで進められたらいいんじゃないかなあと。

  • コメ市場の開放は行う。ただし徐々に。
  • 猶予期間を活かし、国内米作農家の効率化を進める。
  • 棚田など、効率化は難しいが防災・景観(観光資源)の観点から重要な水田については個別に基準を設けて補償・保護する。あるいは公営化する。
  • 一連の政策で食いっぱぐれた人はセーフティネットで救う

こうすれば、万事丸く収まるんじゃないでしょうか。というか、これしか道はないんじゃないかと思います。

まあ、これらを実行に移す際には、脳天気にブログに書き散らしている人間などにはわからない無数の障害が発生しそうなんですけれども。。。

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