くだらなさと重大さが同居する塩村都議へのセクハラヤジ問題


インターネットは今日も燃えている。

数日前より世間を騒がしておりました、都議会で起きた塩村あやか都議へのセクハラヤジ問題ですが、あまりの世論の荒ぶりに後難を恐れた自民党が生贄の羊を差し出して一応の区切りがついた模様です。

自民・鈴木章浩都議、ヤジ認める 「早く結婚すれば」(朝日新聞)
セクハラやじ発言の鈴木都議、塩村都議に直接謝罪(msn産経ニュース)

『このトカゲの尻尾切り感がすごい!大賞』があれば2014年は間違いなく本件でありましょう。「産めないのか」ともっとひどいヤジを飛ばした議員や、組織だって知らぬ存ぜぬを決め込もうとした自民党都議の方々など、とても無罪放免とは参らないと思うのですけれども。

また、このスピーディな因果応報の業火に焼かれこんがりBBQと化した羊議員さんでありますが、ご自身の政策目標として「女性が働きやすい社会の実現」を掲げているそうでありまして、そりゃ公約も実現されんわなとげんなりした次第。

それはともかく、火の粉のかからない位置から炎上を眺めることを趣味とする私にとって実に興味深かったのが、本件に触れた数々の人々が次々に延焼にあったことです。

それこそ無数にあるのですべては上げられませんが、2つ3つ例を挙げてみましょう。

セクハラ野次@都議会事件に関する一般論による解説(Yahoo!ニュース個人 山本一郎)
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元隊長ないしやまもといちろうの名で知られる人気ブロガー山本一郎氏の大被弾は実にめずらしい。記事の内容は本件を批判した上で、塩村都議の不倫疑惑やタレント時代の不用意発言を紹介し、それを「正しいヤジ指南」へつなげたもの。

「セクハラはダメ」と明言しつつ、それとは別に塩村都議の政治家としての資質へ疑義を投げかける記事であったと私は読んだわけですが、文章の解釈は人それぞれ。「こんなビッチはセクハラヤジを受けて当然」的な塩村都議批判と受け止めた人も多かったようで、「セカンドレイプ」「ゲス」「セクハラおやじ」といった罵倒が無数に飛び交っております。たーまやー。

山本一郎氏の都議会セクハラ野次解説とは何なのか(ハフィントン・ポスト 小林聖)
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先述の山本一郎氏の記事の「解説風ガソリン」です。この記事が燃えたポイントは3点に集約できるでしょう。

  1. 自ら火の粉をかぶりに行った
  2. 山本氏の記事をレトリックと定義したことで、批判をした人間を「レトリックが解せない人」と遠回しにバカにした
  3. 多くの人が重大と感じたセクハラ問題を、「個人的にはそんなこと(というもまぁ、よくないですが)よりも」と軽んじた

まあ1点目ですでにしょーもないので、炎上すべくして炎上したと言える事案でありましょう。

議会での野次、外国ではどうなっている? 「下品な野次飛ばし部隊」は民主主義に不可欠(Market Hack)
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不倫は市民社会にとって「悪」でもなんでもない(極東ブログ)
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都議会「野次」は「お前が結婚しろ」だったのか(Yahoo!ニュース個人 不破雷蔵)
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いやあ、インターネットが燃え盛る様子は本当に楽しいですねえ(ゲス顔)。

ともあれ、どうしてこんな玉突き事故が頻発してしまったのでしょうか。「昭和男尊女卑脳の化けの皮がはがれたのだ」と解する人もおったようですが、そういう側面があることは否定しないまでも、この事件が複数の論点をはらむ複雑な問題であることが一因であるように私には感じられました。

では、どんな論点があるのか。網羅できている自信はないのですが、私なりにちょっと整理をしてみます。

■1.塩村あやかという一女性に対し公衆の面前でセクハラ発言をした

ギルティです。ちゃんとした会社なら一発で懲戒ですね。これについて異論のある人はガバナンスのきいた組織とは距離を置くべきかと思います。

■2.結婚できないことや不妊に悩む善男善女を傷つけた

32歳毒男の私はギルティだと思います。結婚していないことや子どもを授からないことに悩む人はほとんどあの発言に傷つき、憤ったのではないでしょうか。

しかし、これについては「主語を大きくしすぎだ」と反発する人もおったようです。百六歩ぐらい譲ればわからんではないのですが、選挙によって選ばれた政治家の議会での発言と考えますと、やはり不適切でしょう。

■3.ヤジのレベルが低い

(1)でも書きましたが、民間なら即懲戒ものの発言なわけで、その程度の常識さえわきまえない人間が選良たる議員をやっているのが意味不明。

■4.都議会でヤジが飛ぶのがそもそもおかしい

ヤジこそが議会の華だと主張する向きもあるようですが、いや、要らねえだろそれ。議事進行の妨げ以外の何者でもない。会社の会議でヤジや怒号が飛び交ってたら仕事にならないでしょ。

つうかこの時代に高給の議員たちが一箇所に集まって答弁をすること自体が不要なんじゃないかと私は思います。グループチャットやテレビ会議みたいなものにしてぜんぶ録画&公開すれば、誰が何を言ったかの記録もすべて残りますし、議事録にかかるコストも削れる。いちいち議員さんが集合するコストも省けるし、一石十鳥ぐらいのメリットあるんじゃないかなあ。

■5.自民党が全力ですっとぼけた

女性都議へヤジ、抗議1千件 自民、発言者特定せぬ意向

ここまで大事になるとは思っていなかったんでしょうなあ。しばらく頬かむりをしていればほとぼりが冷めると思ったのでしょう。

後に石破官房長官が「犯人は自首しなさい!」と勧告をしましたけれど、自らの良心に従ったわけではなく世論の圧力に負けたのは明らかで、本件に関し自民党に自浄能力がないことを露呈したのだと感じた人は少なくなさそうです。

とんでもなく低レベルな組織だなあと呆れますが、同時にこれが日本の第一党であるという事実は重大です。では他に政権を担わせたい党があるのかといえばそれもなく、政治不信ここに極まれり。

■6.塩村都議にまつわるスキャンダラスな話題

タレント時代の放言とか、不倫疑惑とか。確かに眉をひそめるものですが、それをネタに塩村都議の政治家としての資質を論ずるのであれば本件と完全に切り離さないと無用な勘ぐりを産むだけかなと。

むしろ、いまそれをセットにしてしまうと、今後「政治家 塩村あやか」を評する際のタブーを作るだけなんじゃないかなあ。もはや手遅れっぽいけど。

他にも挙げたいことがいくつかあったはずなのですが、書いているうちに忘れてしまいました(鳥頭)。

なんつうかこの騒動、センシティブで重大な問題と、極めて低レベルでくだらない問題が同居をしていて、一緒に語るとこじれるだけな気がするんですよねえ。本件について冷静に議論を進めるためには、論点を切り分けて一つひとつ語っていく必要がありそうだなあと。

あ、でもそれじゃあ炎上しなくてPVが稼げない……もとい、議論が盛り上がらないのか。なんというジレンマ。

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