こんなTweetが話題になっていました。
「アニメ制作に於いて何一つ、石ころより役に立たないのが「原作者」という存在。
役に立たないならまだしも、あの手この手で妨害工作を繰り出してくる輩がいる(-_-)。 そんな数々の妨害にも負けず鋭意制作中です」
ほんじゃテメェでオリジナルやれやカス
— 山本賢治 (@yama_kenboboso) 2014, 6月 1
どこぞのアニメ制作者がカッコ内のTweetをし、それを見た漫画家さんが頭にきてしまったらしいです。アニメに詳しくはありませんが、原作がなければアニメーション化もできないということは素人の私にもわかります。作品のブランド価値を守る上でも、原作者があれこれ口を出すのは当然といえるでしょう。
アニメ化にあたって事細かく注文をつけた例として、「ハイスクール!奇面組」原作者の例も挙げられていました。
"「アニメ制作に於いて何一つ、石ころより役に立たないのが「原作者」という存在。"と話題沸騰中ですが、
「こんなに細かく注文をつけられたのは初めて」
とアニメスタッフに呆れられた『ハイスクール!奇面組』原作者を見てみましょう pic.twitter.com/zyIdhlDdtW
— ウナム日月 (@unamuhiduki) 2014, 6月 2
うーん、じつに細かい。奇面組ってゆるいギャグ漫画のイメージしかなかったので、この緻密な指示書(?)とのギャップに驚かされます。
おそらく、これらの指摘は的を射ているのでしょう。マンガとアニメに表現手法には通じるものがあるでしょうし、いずれかで確固たる実力を備えた人はどちらの領域でも一家言ありそうです。
漫画作品のアニメーション化において、原作者が一定の影響力を行使するのは十分に合理的なのではないでしょうか。
しかし、このようにすんなり腹落ちできない事例も世の中にはまま存在しています。影響力と判断力がちぐはぐなパターンですな。
たとえば、コンビニやスーパーの経営陣が試作の弁当を食べて商品化の可否をジャッジしているのをテレビ番組で見たことはないでしょうか。ああいうのを見ていると、開発現場はたまらんだろうなあと同情してしまいます。
大企業の経営に携わっているからといって味覚が優れているわけではないでしょうし、商品がターゲットとしている年齢層ともかなりのズレがあるわけじゃないですか。そんな人たちに甘すぎるだの辛すぎるだのいわれて渾身の新商品がリジェクトされるのは内心はらわたが煮えくり返るのだろうなあ、と。
いや、試食は儀式的に行っているだけで、じつはリサーチ結果や担当者の自信のほどを見極めているのかもしれないんですけれども。
とはいえ、仮に本当はそうだったとしても、現場には納得感がないだろうと想像してしまいます。アニメーション化における漫画原作者のように、正しくジャッジできるであろう実力者が注文を出す場合においても冒頭に上げた不満が飛び出すのですから、「わかってない人」に対して生じる鬱屈は並々ならぬものがありそうです。私も企画者としてエンジニアに注文をつける場面が多々あるのですが、コミュニケーションを間違えると「このわからんちんが余計な口を挟むな」と思われそうだなと。
世の決裁者がみんなあらゆる面で現場以上の知見を備えているのが理想なのでありましょうが、そんな完璧超人は滅多におりません。位が上がるほど戦闘力が増すのはそれこそ漫画の世界です。
だからこそ、組織論において権限移譲が最重要テーマのひとつに掲げられるんだろうなあなんてことをつらつら考えておったのですが、いくら考えてももっともらしい結論がひねり出せないのでこの辺で筆を置きます。
なんでもいいからズバッと言い切っちゃったほうが賢そうに見えるんだろうけれど。