出る杭は打たれるというか、雉も鳴かずば撃たれまいというか。
Gunosyというスタートアップのサービスが炎上しています。「そもそもGunosyって何よ?」という方のために簡単に説明しますと、連携させたSNSでの言動を解析し、おすすめのニュースをメールでお知らせしてくれるという。いわゆるキュレーションサービスです。
発端は以下の記事でした。
・Gunosyのレコメンドエンジンの仕組み解説(ベンチャー・アンダーグラウンド)
・上記のはてなブックマークコメント
自分に配信されてきた1日分の配信内容を元に、「ぜんぶにはてブがついてるからはてブのパクリだ!」という主張。サンプルは1つしか挙げられていないし、そのサンプルにも2~691ブクマまであるし、思わず「お、おう…」となってしまう記事なのですが、これがNAVERまとめに転載されて加速します。
・[衝撃]Gunosyはただの「はてブ拡張サービス」だった?衝撃の分析まとめ(NAVERまとめ)
・上記のはてなブックマークコメント
元記事のはてブコメントは冷静なものが比較的多い印象なんですが、こちらには「やっぱりそうだったんだ」という感じのコメントが多いかんじ(定量的じゃなくてすみません)。「まとめ」とか「引用」って体裁を取ると信憑性が増すのでしょうか。
他にもいろいろ記事があるんですが、読まなくても流れは追えるので割愛。ついにGunosyから公式アナウンスが発表されます。
・ここ最近のGunosy関連の批判についての所感(Gunosy blog)
・上記のはてなブックマークコメント
これがまた火に油を注いでしまったようで、「文章が下手」とか「やっぱり検閲してたのかよ」とか「なぜ社長じゃなくマーケティング担当が謝るんだ」などなどお説教の嵐。ここにnanapiけんすう氏が参戦し延焼するという悲惨な事態に発展します。
・僕がGunosyの社長だったらこのように謝罪文を書きます(nanapi社長日記)
・上記のはてなブックマークコメント
私の勝手な想像ですが、けんすう氏は「こうやった方がよかったんじゃないの?」とお手本を示すふりをして通訳を試み、炎上の沈静化を図ったんじゃないかと。ベンチャーの先輩として思うところがあったんじゃないでしょうか。結果として自らが焚き木と化すという惨事を招いたわけですが。
こうやって延焼範囲を追っていくのもなかなか味わい深いのですが、キリがないのでこのへんで。はじめに立ち返って考えますと、そもそも根拠薄弱な批判(というか、もはや誹謗中傷)が妙に支持を得てバズってしまったのがわかりません。ネットイナゴのひとりとして一連の騒動を追いながら、ずっとそれを不可解に感じていました。
そして、さきほど原因にようやく思い当たりました。
要するに、Gunosyにはもともとアンチが多かったのでは?
「人は信じたいものを信じる」というわけで、Gunosyに不利な出来事を期待していた人が一定数いたところにタイミングよく現れたのが発端となった記事だったのではないかと。待望していた内容だったので、真偽の吟味が不十分なままに鵜呑みにして拡散されてしまったんじゃないでしょうか。
ではなぜGunosyにアンチがついてしまったのか。注目されればアンチも増えるという格言もありますけれど、それにしてはアンチが多すぎる気がします。原因は以下の3つあたりに集約されるんでしょうか。
1.期待を裏切られた
さんざんメディアや有名人に称賛されましたが、いわれるほどにキュレーションの精度は高くありません。私は2012年6月8日からGunosyを使っていますが、配信される記事のうちクリックするのは平均してせいぜい3~4記事程度だと思います。前評判を信じてGunosyを利用しはじめた人は、精度の低さにがっかりするんじゃないかなと。
私などは25記事中に3~4記事も当たりがあればけっこうな精度なんじゃないかなと思うんですがね。本を1冊読んでも役に立つことが1つもないなんてことはざらですし。
2.自分はやめたのにサービスが伸びていて面白くない
わざわざ探してリンクはしたりはしませんが、「おれはGunosyをやめるぞ! ジョジョーーッ!!」とブログやTwitterで表明している人をけっこう見かけた気がします。
にも関わらず、Gunosyは順調にユーザーを伸ばし、あちこちで称賛されています。自分がつまらないと思って利用しなくなったサービスがそんな風に持てはやされるのを見て不快感をおぼえる人は多いでしょう。予想が外れたわけですし。
「おれが流行らないと思ったサービスがどんどん流行っていく……ぐぬぬ」と反感を募らせ、アンチになった人もいたのではないでしょうか。
3.アンチが多い有名人に称賛されている
最後に上げるこれが最大の理由な気がします。ホリエモンこと堀江貴文氏と家入一真氏の対談中で言及されたり、プロブロガーのイケダハヤト氏に持ち上げられたり、ITジャーナリストの佐々木俊尚はかなり早くからGunosyを称賛していた記憶がありますが、いずれもファンも多いがアンチも多い御仁と思われます。
・堀江貴文氏がクラウドファンディング「CAMPFIRE」特別顧問就任へーー「ハードウェア10本ぐらいやりたい」(Sd Japan)
・ホリエモンも注目する「Gunosy」と、キュレーションの未来(ihayato.書店)
Gunosyのニュースのレコメンドはかなり精度が高くて素晴らしい。この新サービスも期待できるかも。/GunosyCareerがあなたに合った仕事を探してくれる bit.ly/UHSTq5
— 佐々木俊尚さん (@sasakitoshinao) 2012年11月15日
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いというとおり、自分の嫌いな人物がほめているサービスを無条件に嫌いになる人は少なくないと思われます。
こうして着々とアンチが積み上がっていったところに投下された燃料がくだんの記事だった、ということではないかなと。他にも「東大」とか「イケメン」とか「ベンチャー」とかアンチがつきやすい要素はたくさんありますし。
最後にGunosyは本当におんなじようなコンテンツばかりを推薦しているのか検証をしている記事があったのでご紹介します。
・「Gunosy」1820ユーザ分のレコメンド結果(Solanum lycopersicum)
25件の記事が完全一致しているユーザはいませんでした。(たぶん)
ということなんですが、どんなもんでしょうか?
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(同日追記)
「記事概要も含めてはてなのAPIに完全にタダ乗りじゃないの?」って記事があったので、今朝配信されたGunosyを確認してみたら、現時点ではてブ0の記事が2つありました。
はてブ0だった記事は下記の2つ。
・麻生副総理「中国とスムーズにいった歴史ない」日印米豪の協力強調(ZAKZAK)
・日本ハム・大谷が「7番・右翼」で復帰 2安打放ち「しっかりできた」(ZAKZAK)
はい。これで完全タダ乗り説は否定できたようです。
でも、おれはZAKZAKの記事なんか読みたくないんだけど(´・ω・`)