スマートニュース問題を見て、キュレーションサービスが衰退しなければいいなあと思った


こんな記事が話題になっていました。

あれから一年が経ち、スマートニュースはどれだけ適法となったか(山本一郎/Yahoo!ニュース個人)

スーパー要約しますと、無断転載はダメよ、という話。言ってみればスクレイピングサイトをアプリに置き換えただけで、いくらレコメンデーション機能が優れていたとしてもフリーライドの誹りはまぬがれないのかなと。スクレイピングサイトが蔓延すると、オリジナルコンテンツの制作者が本来得られるべき対価を受け取れなくなってしまいますので、やがてはインターネット全体のエコシステムを破壊しかねません。コンテンツは無料でわいてくるものでではないのですから。

というか、スクレイピングサイトはGoogle先生自身が排斥を決めたのに、当のGoogle先生が「アプリオブザイヤー 2013」を進呈しちゃうとかどういうことなのでしょう。

スクレイピングサイトとは、他のWebページからコンテンツの一部を抜き出し、自分のWebページのコンテンツとして使用しているWebサイトのことである。
(中略)
スクレイピングサイトは他人の作成したコンテンツを利用しただけのスパムサイトと見なされる事が多い。Googleは2011年2月に、検索結果ページ(SERP)からスクレイピングサイトを排除する方針を発表している。
出典:スクレイピングサイト(IT用語辞典バイナリ)

スマートニュース以前にも、NAVERまとめや2chまとめサイトがフリーライダーとしてネットの一部よりヘイト値を稼いでいたため、「キュレーション」という言葉そのものに嫌悪を抱いているインターネットユーザーも少なくないようにかんじられます。

しかし、キュレーションサービスとは十把一絡げにダメなものなのでしょうか。私はそうは思いません。インターネットに無数の情報があふれている昨今、あちこちに散らばったコンテンツをある文脈に沿ってまとめることは、ユーザーにとって非常に価値のある行為だと思うのです。

たとえば、つい先日こんな記事が注目を集めていました。

「現代」を知るためにこれだけは読んどけっていうWikipediaの記事(デマこいてんじゃねえ!)

タイトルのとおり、Wikipediaから情報を拾い集めて構成された、いわゆるキュレーションコンテンツです。

また、拙ブログの記事で恐縮ですが、以前こんな記事が好評を博しました。

朝日新聞が炎上した「バードストライク」について調べたら、ひとつの産業を成すほどに深い問題だった

こちらもネットのあちこちから拾い集めた情報をコメントを添えて並べたものです。手前味噌ではございますが、それなりに読んだ方の知的好奇心をくすぐる記事に仕上げられたのではないかなあと思います。また、ネタ元にさせていただいた各サイト様にも流入やリンクジュースをお渡しできたでしょう。

悪名高いNAVERまとめにも、「よいまとめ」「悪いまとめ」が存在しています。インターフェイスやインセンティブ設計が著作権侵害を引き起こしやすい設計になっているのは問題なのでしょうが、情報をある文脈に沿って整理し、提示するというニーズに応えたという意味で、やはりNAVERまとめはよいサービスだと思うのです。(悪貨の方が目立つけど)

さて、冒頭のニュースキュレーションサービスについて戻りますと、この件の少し前にこんな記事を読みました。

Antenna、Gunosy、vingowが「ニュース配信の未来」を公開討論~キュレーションサービスは今後1年が勝負(エンジニアtype)

この記事の最後の中見出しは『テレビ、ラジオ、雑誌など他メディアとの共存を考える』で、記事を読むとAntenna、Gunosy、vingowという3サービスの提供者が、いずれもオリジナルコンテンツの制作者との共栄を考えていることがわかります。

穿った見方をすれば、メディア各社から刺されないようにするためのポジショントークなのかもしれません。しかし、私にはこれらが本音にかんじられます。きっと彼らは、Googleのように各媒体にトラフィックをもたらす存在となり、共栄していきたいと考えているのでしょう。

キュレーション界隈の進化・成熟化はまだまだこれからだと思うので、過剰に萎縮して進化が止まらなければいいなあと思います。ついこの間まで検索エンジンのキャッシュは日本において違法でした。それが国産検索エンジンの成長を妨げました。また、いまでも音楽や映像などはコピーコントロールでがっちがちで、市場の縮小を招いています。

検索エンジンが「違法」、いつまで続く?(ASCII 2008年07月01日)
改正著作権法が成立 「ダウンロード違法化」「検索キャッシュ合法化」へ(ITmedia 2009年06月12日)
「コンテンツに鍵をかけないほうが音楽は売れる」 新たな研究で明らかに(GIZMODO)

TPPの上陸で著作権関連の話題がかまびすしいですが、フェアユース(公正利用)の概念だけは先行輸入しておいた方がいいんじゃないかなあと思った次第。

キュレーションの時代(佐々木俊尚・筑摩書房)

2011年の本なので最新事情を追うにはもはや適しませんが、キュレーションが求められている背景を理解したい人にはおすすめの本。amazonレビューはフルボッコだけれど、読んで損はないと思います。

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