2,005人の震災遺児と、貧困の再生産の懸念について


中の人です。

弊社の運営する地域情報サイトLococomが、NPOの3keys(スリーキーズ)さんと提携しました。Lococomで貯めたポイントを3keysさんに寄付できるって内容なので、協賛という方が正しい感じもしますが、なんかしっくりこないので「提携」ということで。

お知らせ:ロコポイントの寄付先に3keysを追加しました(Lococom)

これに関連して感じたこと、考えたことなどをちらほらと。

とりあえず、3keysさんの活動概要から。

「児童養護施設の子どもたちにも、充分な学習機会を」
3keysはどんな環境にいる子どもたちでも、自らの人生を前向きで、自己判断に基づいて、選択していける社会を目指しています。
児童養護施設の課題である、「児童養護施設の認知度・理解度・情報不足」、「外部資源に頼る余裕もないほどの人手不足」を解消し、継続的な支援が必要な学習支援と心のケアをサポートしています。

児童養護施設とは平たくいえば孤児院のようなものです。両親を亡くした他にも、虐待や経済的な理由で施設に入った子どももいるので、正確ではないんですが。3keysさんはそういう子どもたちの学習を、ボランティア家庭教師などで支援する団体です。

孤児の支援というと、衣食住の保障が真っ先に思い浮かぶんじゃないでしょうか。3度のごはんをきちんと食べさせて、身体の健康を保ったまま大人になれればめでたくゴール的な。

たしかにそれは必須なんですが、最低限でしかありません。たとえば中卒で社会に出て、幸せな人生が送れる確率はどれほどでしょうか。もちろん、中卒でも幸せな人生を送っている人がいるのは知っています。しかし、残念ながらこの現代日本において、十分な教育を受けられないことが大きなハンディキャップとなるのは否定できないでしょう。

孤児の支援は「おまんまの世話だけ済ませればおしまい」というほど簡単な問題じゃないんです。

以前、こんな記事を読みました。

不登校、ひきこもりは心の問題にとどまらない(WEDGE Infinity)

生活保護を受ける貧困家庭の子どもたちの多くが、不登校やひきこもりなど、教育課程でドロップアウトしてしまう、という話です。記事中では短大に進もうとした生活保護家庭の子どもが、ケースワーカーから「短大進学をするなら生活保護費を減額する」と言われた事例も取り上げられています。わが国では貧乏人が高等教育を受けるのは贅沢であり、権利ではないようです。

こんな記事も読みました。

不登校のまま何もしなかったらどうなるのか?(CARPE・FIDEM)

かなり話題になった記事なので、既読の方も多いかもしれません。不登校やひきこもりの支援団体である「CARPE・FIDEM」さんが、高校を中退し不登校を続けたまま30歳過ぎまで引きこもりになった男性が置かれるであろう境遇を生々しく書いています。読んでいてつらくなるほどに悲惨です。

これらを合わせると、経済的貧しさと不登校やひきこもりの問題が密接にリンクしており、不登校などによって教育を受ける機会を逸してしまうと、将来に渡って人生ハードモードを強いられるという残酷な事実が明らかになります。

俗にいう「貧困の再生産」というやつですね。

そして、いまこういう問題が起きています。

親を失った子の支援、本当に必要なものは…(震災取材ブログ)@東京 (日本経済新聞)
東日本大震災遺児2,005人 一時金申請書の第2次分析結果発表 ~子どもたちに長期的支援が必要~(あしなが育英会)

あしなが育英会の調査によれば、東日本大震災で両親を失った2,005人の遺児のうち、18歳未満の少年少女がじつに1,698人にものぼるそうです。(※2012年2月28日調査時点)

この子どもたちを浮浪児にしていないという意味では、行政は最低限の仕事はこなしているのでしょう。しかし、先にも述べたようにそれだけで十分とはいえません。進学・教育の面で経済的なハンディキャップを負わされていることは想像だに容易です。

学費の問題もそうですが、学外での教育機会の差も見逃せません。平たくいえば、塾や家庭教師です。国民の税金で養ってもらっているやつが塾に通うなんて贅沢だとおっしゃる向きもあるやもしれませんが、文部科学省の調査(平成22年)によると、公立中学校に通う生徒で塾や家庭教師を利用しているのは83%にものぼるそうで、もはやこうした学外教育を利用するのは当たり前のことであり、むしろ利用しないことが不利な状況といえるでしょう。

ただでさえ不意の災害で両親を失い、不幸な境遇を強いられた子どもたちが教育面でも不遇を味わうのはやりきれません。もともと「お金がない」「生まれが悪い」というだけで十分な教育のチャンスに恵まれない子どもたちがいること自体、なんだかまっとうじゃないと感じておりましたが、殊更この問題についてはその思いが強くなります。

広く教育機会の平等を担保するためには、本来であれば国策的な支援がもっとしっかり行われるべきだと考えます。国民の教育水準を向上することは将来の国益にもつながることです。

しかし、お上に頼るばかりではらちがあかないのも事実。微力ではありますが、今回の3keysさんとの提携も、震災遺児のみならず教育環境にハンディキャップを負っている子どもたちの一助になれば幸いです。

3keysさんでは子どもたちへの学習指導を行うボランティアスタッフや、寄付の募集も随時行っているそうです。興味を持っていただけたら、ぜひ以下もご覧ください。

特定非営利活動法人 3keys(スリーキーズ) 公式HP

また、あしなが育英会さんでも震災遺児の支援に積極的に取り組まれています。

東日本大震災・津波遺児への支援活動一覧(あしなが育英会)

震災から2年。原発問題ばかりが注目されがちですが、他にも無数に起きている切実な問題を忘れずにいたいものだなあなどと、しみじみと思った次第。


(付記)
本稿を書き上げた後にNAVERまとめに良い記事を見つけたのでご紹介。NAVERさんはこういうまとめこそ全力でプッシュすべき。

震災孤児を支援する情報まとめ(NAVERまとめ)

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2 thoughts on “2,005人の震災遺児と、貧困の再生産の懸念について

  1. いつも良記事ありがとうございますm(_ _)m

    3/20は3000円握り締めまなボラに参加させてもらいます!

    • こちらこそ拙記事を読んでいただきありがとうございます。

      まなボラ参加されるんですね!
      私の記事が少しは世の中の役に立てたようでうれしいです。

      残念ながら私は参加できないのですが、Lococomでの取り組みや、個人での寄付などで支援していきたく存じます。

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