独「グーグル法」成立の背景―欧州のインターネットは10年退化する


こんなニュースを読みました。

独で「グーグル法」成立へ=ニュース利用に課金(時事ドットコム)

新聞社などがウェブで配信したニュースを検索サイトに表示させる場合、検索サイト運営会社に料金支払いを義務付ける通称「グーグル法」がドイツで成立したそうです。

正直、何がしたいのかさっぱりわかりません。検索サイトはメディアサイトにただで読者を連れてきてくれるたいへんありがたいパートナーなのに、どうしてこんな風に自分の首を絞めようとするのか。この記事だけでは背景がわからなかったので、ちょっと調べてみました。

グーグルはお金払うべき? ニュース利用巡り独で改正案(朝日新聞)※全文を読むにはログインが必要

なるほど、つまりは「おれたちの配信したニュースを使って儲けているんだから、分け前をよこせ!」ということですね。なんだかなあ。

あらゆる書籍のアーカイブ化を目指したGoogleブック検索に反発が起きたのは理解できるのですが、これはいくらなんでも筋悪な言いがかりにかんじられます。まるでみかじめ料を要求するヤクザのようです。

Google、図書館プロジェクトをめぐる著作権訴訟で米出版社協会と和解(INTERNET Watch)

それにしてもこの問題、どこかで似たような事例を耳にしたおぼえがあります。記憶を頼りにグーグル先生に尋ねてみたら、ありました。やっぱりグーグル先生は偉大だ。2002年に、読売新聞社がデジタルアライアンス社の提供する見出し配信サービスを著作権侵害として訴えた問題です。リンク先はいずれもINTERNET Watch。

ニュース記事の見出し引用はリンクか、著作権侵害か?(2002/12/26)
見出しは著作物にはあたらない~東京地裁、読売新聞の訴えを棄却(2004/03/25)
見出しの無断配信は不法行為、知財高裁が読売新聞の訴えを一部認める判決(2005/10/06)

いまではRSSを使った見出し配信などが当たり前なので、なぜこれが問題視されたのか当時の感覚がまるで思い出せません。ほんの10年前の出来事にも関わらず、こういう混乱を乗り越えてネットは成熟してきたんだなあと感慨深くなりました。

ドイツでも同じく2002年に似たような裁判が行われていたようです。

独でも“ディープリンク”裁判が活発に~検索エンジン会社に不利な判決(2002/07/17)

報道時点ではまだ最高裁を残していたようですが、どのような決着を見たのか気になるところです。

今回の「グーグル法」の成立はインターネットの歴史をこの混乱の時代にまで巻き戻す行為としか思えません。出版社、新聞社のロビー活動が実を結んだそうですが、もし同種の法案がユーロ全域で導入されたら、欧州はインターネットの暗黒大陸と化すでしょう。経済政策でも保護主義化が進んでいるように見えますし、大丈夫なんでしょうか、欧州。

EUの貿易保護主義は中国にとって転機(人民網日本語版)

よりによって中国メディアに保護主義を批判されるとは、なんだか出来の悪いブラックジョークのようです。

最後に、この問題について見事な指摘をしていたサイトがあったので、そこから引用して本稿を終えたいと思います。

ドイツ法は情報の自由な流れを妨げるかもしれない(言論の自由についての討論)

この法案は無能な法案の代表的例です。Googleは出版社がオンラインで無償で提供するコンテンツにしかリンクを張ってはおらず、そうすることによって新聞のウェブサイトの読者数を大いに増加させています。それにも関わらず、出版社は彼らのページにリンクを張るGoogleに使用料を払わせたがっています。あるコメンテーター曰く、これは客を連れてくるタクシー運転手にレストランが料金を取るようなものです。

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