正義を掲げて石を投げる人たちって怖くないんでしょうか? 冷蔵庫炎上に寄せて


今日も今日とて炎が上がる。炎上事件は後を絶たず、インターネットという燎原は燃え尽きんばかりです。ま、だだっ広いのでぜんぶが焼けちゃう心配はないのでしょうが。

こんな記事を読みました。

佐々木俊尚さんのコンビニ冷蔵庫議論まとめ(togetter)

ITジャーナリストの佐々木俊尚氏が一連の冷蔵庫炎上は「苛烈な道徳」なんじゃないの、と。「バイト先の冷蔵庫に入って写真をアップした」という罪に対し、「閉店に伴う賠償請求・不特定多数からのバッシング・実名晒し上げ」という罰はバランスが取れていないのではという指摘です。佐々木氏は「無謬な人間なんていないんだし、もっと寛容になろうぜ!」と呼びかけております。

それが気に入らない人も少なくなかったようで、「罪は罪だ!徹底的に痛めつけろ!」と主張する人たちと議論になった様子をまとめたのがこちらのまとめ。

「汚物は消毒だー! ヒャッハー!」のきれいなバージョンといえばわかりやすいでしょうか。わかりにくいですね。

この佐々木俊尚氏の主張に対し、長文での反対意見も注目を集めていました。

冷蔵庫に入るのは(はてな匿名ダイアリー)

要約しますと、そういう一部のバカのせいで正直者が損しているんだから、そんなやつらに同情するなと。外野から石を投げているようにみえる人たちも、一歩間違えればそのバカの被害者になりかねないわけで、怒るのも当然だという話です。

最後の方に取ってつけたように「ネットによる過剰な叩きを肯定するわけにはいかない」と書いてありますが、いや、外野からの投石を封じなきゃ過剰な叩きはなくならんでしょう。

つまりこれも、「汚物は消毒だー! ヒャッハー!」のきれいなバージョンです。(わかりにくい)

それでですね、私は佐々木俊尚氏の意見に同意です。実名を指して炎上すればネットにいつまでも履歴が残るわけで、就職では不利になるでしょうし、学校に電凸が続けば退学にもなりかねず、そのうえ閉店の損害賠償請求で数千万円請求されたら人生詰みです。ジ・エンド。ワンアウト即退場とか厳しすぎるでしょう。

こういう無謬主義が、日本において起業・転職のリスクを無用に高めていたり、前科者の再犯率を上げていたりするんじゃないかと思うのですが、ちょっと話が逸れるのでやめておきます。

というか、こういう叩きに加担する人は怖くはないのでしょうか? スマイリーキクチ事件のように冤罪だったりすれば目も当てられませんし、炎上から自殺に追い込んでしまったら罪の意識に慄いて一生を過ごすことになりそうですが。

スマイリーキクチ中傷被害事件(Wikipedia)
ブログが炎上して自殺した小泉みつお議員は一体何を書いてしまったのか?(Gigazinne)

それこそ冷蔵庫に入るどころじゃない悪事でしょう。そのへんのところ、冷蔵庫叩きを肯定する方たちにどう思うのか尋ねてみたいです。冷蔵庫叩きて。そんな言葉はない。でも座りがよいからこのまま使っちゃおう。

ところで、過剰な罰が当人と第三者にどんな印象を与えるのかわかるちょうどよい記事がこれまたはてな匿名ダイアリーにアップされていました。

壊れた時計(はてな匿名ダイアリー)

筆者が小学生のころ、先生が大切にしていた置き時計を壊してしまい、どう謝っても許してもらえなかった…という話。実話か作話かわかりませんが、ものすごく読後感が悪い。

私は冷蔵庫叩きにこれとおんなじ印象を受けるんですよ。反撃を受けることのない立場から、悪いことをした人間を徹底的にいたぶるという悪趣味。まあ、炎上は一人が粘着するわけではなく、みんなが一発ずつ殴っていく感じなので構図が異なるところもあるんでしょうが。いじめにおいて各個人の罪悪感が希薄になるのと似たようなメカニズムなんでしょうか。

匿名の安全な立場が過剰な攻撃性を誘発している可能性もありますね。そういえば先日、まさしく過剰な攻撃性の発露の場である匿名掲示板2ちゃんねるにおいて、まさかの個人情報流出が起きて阿鼻叫喚でした。

2chの情報流出で人生崩壊!!? 個人の「投稿履歴が検索できるサイト」も登場(EXドロイド)

斯様にインターネットにおける「匿名」とは脆いものです。「どうせバレやしない」なんて思っていると、とんだしっぺ返しを受ける可能性があります。

んで、冷蔵庫叩きに加担した人たちは、「自殺した冷蔵庫君の糾弾に加担したうちの一人」として実名晒し上げの憂き目に遭う危険があるわけですが、そのリスクを承知した上でやっているんですかね。

だとすれば、みなさま私にはとても真似のできない勇気を持ちあわせておいでです。


(同日追記)

この記事を書いている間に、良エントリが上がっていました。

冷蔵庫に入るのは、どれほど重たい罪なのか。(デマこいてんじゃねえ!)

冷蔵庫叩きをする人たちに、一体誰がそれを裁く権利を与えたんだって話です。当然、誰も与えていませんね。

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3 thoughts on “正義を掲げて石を投げる人たちって怖くないんでしょうか? 冷蔵庫炎上に寄せて

  1. 私も佐々木俊尚さんに賛成です。日本は法治国家なので、応報刑論的に考えると、罪を犯した人には、相当する罰が下されるはずですよね。しかし、炎上や個人情報流出、電凸などの罰は、明らかに憲法31条にいう裁判上の手続きによらないで自由を奪っていますよね。
    それを許してしまうと、自ら犯罪者に手を下すという、法を超越する存在になってしまいます。超越的な存在が許されるのであれば、法律など必要なくなってしまいます。殺人によって親族を失ってしまった方など、自ら手を下したい気持ちが誰よりもあるにも関わらず裁判所にに判断を委ねています。ですから、罪を犯したからと言って、電凸や個人情報を流出する人々には、自分達が権利無くして、他人の権利をどれほど侵害しているのかを自覚して欲しいです。

    • 「司直の手が及ばない巨悪を糾弾する!」であればカッコいいんですけれども。
      一連のこれは水に落ちた犬を寄ってたかって叩いているだけなので、単なる弱い者いじめに見えるのが嫌なところです。

  2. Pingback: ソーシャルメディア炎上について3 | kazua's tech memo

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