初代iMacは本当に安くなかったのか?


以前書いた記事にTwitterで指摘をいただきました。指摘をいただいた記事はこちらです。

元家電量販バイヤーが明かす、アップルのマーケティングの真髄

2012年8月30日なので、このブログをはじめてすぐの記事です。まだブログになれてなくて、文体が安定していないのが読み返すと気恥ずかしい。趣味で長文書くのなんてひさびさだったから、なんかうわずったかんじの文章になっちゃってますね。

と、そんな自分語りはさておき、内容は「一般には高価格戦略で鳴らしているアップルは、実は低価格戦略で成長してきたんだぜ」というものです。その中で、iMacも発売当初は低価格で拡販したと書いたのですが、それが間違いだと指摘を受けました。

ま、マジですか。これが本当なら、私は見当違いの記事を半年間さらしていたことになります。それは恥ずかしすぎるぞ。

というわけで、実際のところ初代iMacが178,000円で発売された1998年のPC市場はどんな具合だったのか調べてみることにしました。まず行き当たったのがこちらの記事です。

十年一昔:時代コンテクストの変化を振り返る – Office:mac – Apple’s Eye(Microsoft公式)(2009/10/09)

米国価格で1000ドル、国内価格で10万円前後のパソコンに注目が集まり、販売店にとってはパソコン1台売るよりもケーブルを1本売った方が、儲けが大きいような変な状況になった。

そんな中、アップルは「999ドルの昨年のパソコンではなく、1299ドルの来年のパソコン」といってiMacを発表する。

@parallaxmaさんの指摘のとおりの内容です。しかし、どうも腹落ちしないのは、当時日本で10万円前後のPCが販売されていた記憶がないんですよね…。日本には上陸していなかったのでしょうか。

まずピンときたのは為替レートです。この記事では1ドル=100円で計算していますね。98年当時の日本の為替レートを確認してみます。

1990年以降の為替相場(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

なんか一部にバグがあってアレなんですが、初代iMacが発売された98年の為替相場は年間平均で132円です。つうか、1年で30円前後振れるとか凶悪すぎだろ、98年。ともあれ、輸入コストなどを無視すれば13万円ぐらいですね。「10万円前後」と呼ぶのはちょっと厳しくないでしょうか。少なくとも10万円は割りません。

次に気になるのは当時のパソコンの実勢価格です。なかなか見つからなかったんですが、Google先生がひと晩でやってくれました。

パソコン本体相場情報(秋葉原/新宿 ’98/8 第5週)(PC Watch)

見出しは「Windows 95モデルが2~4万円安」。時代をかんじますね。この表を一部加工し、初代iMacを加えて低価格順に上位20位のランキング表を作ってみました。

初代iMacは堂々の5位。

初代iMacは堂々の5位。

初代iMacは堂々の5位入賞です。しかも4位の日立プリウスとはわずか1円差です。1位のコンパックの製品が噂の999ドルPCでしょうか。8月の為替相場は1ドル=140円台だったので、ちょうど計算が合います。

もちろん、PC Watchの調査で全機種を網羅していたわけではないでしょうが、少なくとも日本においては初代iMacは低価格で売り出されたといってよいのではないでしょうか。米国についても調べてみたいのですが、なにぶん英語が苦手なため手に余ります…。誰か調べてくれないかなあ。

あわせて、この記事にたどり着くまでに見つけた当時の日記的コンテンツを引用を添えつつ紹介していきます。初代iMacが発売された当時の空気がかんじられて非常に興味深いです。こういう情報に手軽にアクセスできるようになったのですから、インターネットってつくづく偉大だと思います。

問題2の考え方宣教師の思考方式

iMacがついに販売されましたね!
とりあえず定価は1299ドルですから、18万円前後で売られることになるでしょう。
そうなるとDT233あたりと競合してしまいますよね。
でも、モニタも付いているし、キーボードも付いているので安いことは安い。
発売してすぐは安くならないでしょうけど、DT233はいずれクロックアップして、消えることとなるのは時代の必然。
しかし、このiMacが販売される以前から「こんなださいもの売れるはずが無い」「APPLEのデザインはだめ」「この値段では高い」「iMacを買う人間は、APPLEにだまされているただの馬鹿」など、某サイトでは散々です。
しかし、予想をするのは勝手ですが、その予想の根拠はなんですか?と言いたかったですね。

アップルファンの方のようですね。まさかアップル製品が「ださい」と罵られているとは、現在のファンの中にはショックを受ける方もいそうです。

マレーシアからの便り28まーくんの診察室

【iMac と通貨の交換レート】
 iMac 販売価格が12万8000円。だったらインパクトありますね。今よりも何倍も多くの人達が販売店に殺到していることでしょう。しかしこの価格、実は3年前の1995年にiMac が発売されていたら、実現されていたはずです。なぜなら、当時円の価値が最も高く、1US ドルが90円でしたから、米国価格価格1299 US ドルのiMac の日本販売価格は、日本語化費用10%を上乗せしても12万8000円にしかならず、超劇安を実現、物欲のリミッターのはずれた人続出のため今ごろ納期3ヵ月の大パニックになっていたことでしょう。

現在では10万円を割る商品がごろごろしているPC市場ですが、12万8000円でもじゅうぶんインパクトのある安値だった時代だったわけです。いまでも私などは、PC売り場に行くとその安さにびっくりするんですが。

[新基準パソコン]((新型iMac))教育フォルダ

ちょっと長く引用します。

さて、一世を風靡したパソコンiMacの新型が米国で発売された。日本でも近日中に何らかの発表もしくは発売が開始される模様だ。

 これまでも教育現場に導入するパソコンとしてiMacは魅力的な点がいくつかあったが、今回はさらにその魅力が増している。今度のiMacは2タイプある。「iMac」と「iMac DV」だ。

両者とも次のような改良が施されている。これまで手間だったメモリ増設の作業が、「ドア」を開いてセットするだけの機構となった。そして無線LANシステムAirPortスロットの装備、オーディオ機器にも負けないスピーカシステムとUSB接続できるサブウーハーのサポート。CD-ROMドライブにオートローディング機構(CDを直接挿入口へ入れる方式)の採用で、これまでのようにCDをパチッとはめる手間はなくなった。標準搭載メモリも倍増の64MBとなり、性能的には申し分ない。そして何よりも、今回のiMacから「冷却ファン」がなくなった。音が抑えられたということだ。この高い静粛性は、図書館の検索端末としても理想的であろう。 斯様な改良の上に「iMac」は米国で999ドルという価格で発売されたのである。Macも1000ドルパソコンとなった。

そして「iMac DV」はこの上に待望のFireWireがサポートされた。これはデジタルビデオで装備されているiLink(DV端子)のことである。つまり、iMac DVはデジタルビデオ編集を容易に実現できるマシンとして登場してきたのである。いやはや、SONYのVAIOもビデオ編集できる素晴らしいマシンだが、iMacという普及度の高さが予想されるマシンがビデオ編集できるようになるのである。あなたは想像できるだろうか。女の子の机の上にあるカラフルなiMacで、手軽にデジタルビデオ編集されている光景が。

なんかもう色々と隔世の感が。最近のPC市場ではいくら新製品が出てもこんなわくわくさせられることはありません。PCが「なんでもできる魔法の箱」だった時代はいつの間に終わってしまったのでしょうか。気がつけば「バザールでござーる(※NECのキャッチコピー)」も「来て見てさわって富士通のお店(※富士通のキャッチコピー)」も駆逐されてしまいました。ていうか、iMacも2代目は999ドルPC市場に打って出ていたんですね。

いかん、なんかオチをつけるつもりだったのが、書いているうちにノスタルジーにとらわれてすっかり忘れてしまいました。

なんとも締まりがなくて申し訳ありませんが、こんなところで失礼いたします。

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