クルーグマンのお墨付きでアベノミクスが加速する


ノーベル経済学賞の受賞者である経済学の大権威ポール・クルーグマンが安倍政権の経済政策、通称アベノミクスを手放しで大絶賛しています。

動き出した日本(Japan Steps Out by Paul Krugman)(だいばくち 元も子もなくすってんてん)※ニューヨークタイムズの有志邦訳
本誌独占インタビューノーベル経済学者は指摘するポール・クルーグマン「1ドル100円超え、アベよ、これでいいのだ」(現代ビジネス)

現代ビジネスさんの見出しの品のなさはどうなのよとか思いつつ、それはそれとして。

要するに、安倍氏はすばらしい結果を出して原理主義者たちの鼻をあかしたんだ。

だとか、

私はこのアベノミクスを評価している。これこそが日本がデフレから脱却するために必要な処方箋となりうると思っているからだ。そしてこれが成功を収めれば、日本が先進国の中で先んじて、経済低迷から脱する方法を示すことになるだろう。もちろんそれは、世界の経済政策担当者が過去20年間信じてきた原則が間違っていたことが証明される時の訪れも意味するのだ。

だとか。

後者の記事では「まだ手ぬるいからもっとやれ」とか、「実施するときに日和るなよ」とか注文もありますけれど、論調としてはほぼ手放しの大絶賛といっていいでしょう。

以前、「円安・株高の原因は金融緩和ではなく、安倍総裁のまとう“アブナイ雰囲気”ではないか」という記事を書きましたが、もし本当に気分で景気が変わるのならクルーグマンのお墨付きは非常に強力な後押しになります。

アベノミクスを批判する経済学者や有識者はいまだに少なくないわけですが、これからのアベノミクス批判はすなわちクルーグマンへの批判となります。そんな勇気(蛮勇?)のある人は多くないでしょうし、そもそもクルーグマン以上に影響力のある自説を展開できる論者はほとんどいないでしょう。

(話者の権威で学説の優位度が変わるとか、経済学ってつくづく「科学」じゃないなあ、というトホホ感はありますがそれはまた別の話題)

現実に市場が好感しているという事実があり、さらにその道の権威がお墨付きを与えている経済政策であるアベノミクスは、景気の気分をひたすらに温めていくんじゃないかなと思います。

さらに安倍首相が上手いなと思うのは、このあたりのアナウンス。

アベノミクス効果、賞与で演出へ 首相が賃上げ要請(日本経済新聞)

「首相に言われたから給料上げます!」という殊勝な経営者はそうそういないと思われますが、実効性はさておき一般の勤め人がこのニュースを聞けば、「うわっ…私の年収、上がるかも」と期待を持つ人は多いでしょう。

四季報が売れまくっているというニュースもありますが、とにかくいま株を買えば必ず値上がりするだろうという期待感から、個人が株を買おうと動いていることも察せられます。

「四季報」が在庫切れ、投資熱上がる個人-証券にも電話殺到(ブルームバーグ)

いち日本国民としてはこのまま余計な水を差されずにアベノミクスが遂行され、景気がよくなることをひとえに願うばかりなのですが、TPPへの反対方針やゾンビ企業への税金投入だけはなんとかならないものですかねえ。

政府「聖域なければ不参加」 TPP交渉で方針提示(日本経済新聞)
「公的資金で製造業支援」は禁じ手だ!安倍政権がはまる「ターゲティング・ポリシー」という愚策  | 磯山友幸「経済ニュースの裏側」(現代ビジネス)

農家や企業の組織票が重要なのはわかるのですけれども、親方日の丸の保護主義政策で生き永らえた産業が繁栄できるのは経済が未発達な高度成長期に限られると思うのですよね。

関係者の短期的な利益を優先するあまり、漁業で起きているようなドツボにはまっていかないか、おじさんはたいへん心配です。

資源回復計画が予想通り破たんして、青森県のイカナゴが禁漁となった(勝川俊雄 公式サイト)


(2013/2/18追記)
ゾンビ企業を活かすことや一次産業の過度な保護がもたらす弊害については下記の記事にも書いているのでよろしければ。

10人の村で日本の経済成長と失業と政治を考える

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2 thoughts on “クルーグマンのお墨付きでアベノミクスが加速する

  1. 初コメントながら、推敲せずに投稿します。
    23歳男、自営業者です。乱暴な言葉遣いになってしまってる所もありますが、
    ご容赦ください。

    その、あなたが言うゾンビ企業(笑)で働いてる人も日本国民で、
    舐めちゃいけないぐらい大量に人数おるわけです。
    例えば従業員数6000人弱のエルピーダがクソ円高のせいで死んで(上場廃止)
    「公金注入も無かった、最高だ」みたいな感じで嬉しがってるような人種こそ死ぬべきであって、
    初コメントながら「何がゾンビ企業だよ働いてる人間は生きてんだよクソが」と思うわけですね。
    で、何が言いたいかというと、
    あなた自分で「水を差すな」って言っておきながら自分で「TPP反対とかどうにかならんのか」って言って水ドバドバ差しまくっとるやないか、ということです。
    第一義的に、デフレ対策を含む、「自国の」経済成長を目指すアベノミクスであって、TPPはアベノミクスとは相容れないのは自明の理だと思いますよ。ISD条項とかね。

    こうも思います。
    第一次産業だけの問題にして主たる問題から目を逸らそうとするマスゴミのようなやり口はいただけないですね。

    個人的に恨みは何も無いんですけど、読み進めていって最後の
    >いち日本国民としては
    以降に反発してみました。

    • keinearさん、コメントありがとうございます。

      > ゾンビ企業を生かすな、という話
      問題なのは企業が存続するか否かではなく、keinearさんがおっしゃられているように失業者の発生こそが問題です。

      別に従業員がエルピーダで働き続けなければならないとはおっしゃらないですよね?

      解決すべきは、その6000人が次の職をスムーズに見つけられない情勢や、失業中に食い詰めてしまうことです。

      政策で言うなら景気をよくして労働需要を増やす、雇用規制の緩和、職業訓練の機会やセーフティネットの充実などがそれですね。

      また、産業保護は公正な競争を阻害し、ゾンビがいなければ伸びていたかもしれない若い芽をつぶしかねず、むしろ全体にとって有害でさえあります。

      そのあたりについては以下のエントリでも書いているでも、よろしければご覧ください。

      10人の村で日本の経済成長と失業と政治を考える

      > TPPについて
      日本は貿易で食っている国ですので、自ら門戸を閉ざすようなマネは「自国」の首を絞めるようなものだと考えます。

      > 水を差すな、という話。
      その後に注文を書いているのですでにご存知かと思いますが、安倍政権の政策にはすべて諸手を挙げて賛成しろ、という意味ではありません。

      選挙を意識してのいびつな企業救済や保護がアベノミクスの効果を薄めると考えますので、安倍首相にはしがらみに捉われず存分に大ナタを振るって欲しいと思う次第です。

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