『桐島、部活やめるってよ』の感想、を観たつもりで書く


大ヒット中の映画『桐島、部活やめるってよ』の感想です。途中からネタバレ多数なので要注意。

* * *

「桐島、部活やめるってよ」

「あの野球部のエースがまさか。単なる噂だろ」

放課後の教室。たまたま男子生徒の雑談を耳にした女性生徒が主人公だ。

女子生徒はその高校の野球部のマネージャー。

「そんな話、知らない!」

と、焦るところまでは普通なのだが、焦った理由が普通じゃない。

女子生徒は、その野球部のエースと呼ばれている「キリシマ」の存在をまったく知らないのだ。

ミステリアスな導入にいきなり引き込まれる本作。

最近の和製サスペンスは肩透かしが多いのであまり過剰な期待をせずに観ていたのだが、ここからのぶっ飛んだ展開がすさまじく思わず見入ってしまった。

以下は盛大なネタバレになるので未見の方は注意されたし。

冒頭の怪情報に動揺した女子生徒は、さっそく野球部の主将を問い詰める。

そのときは「何かの聞き間違いではないか」とのらりくらりとかわされてしまうのだが、どうも様子がおかしい。

その日の練習後、こっそり主将の後をつけてみると、なぜか帰路とはまるで違う方向の神社に姿を消してしまった。
追いかけて中にはいると、神社の床板に地下への通路がある。

いつまで続くやもわからない暗い通路を抜け、巨大な鉄扉を押し開けると、まばゆい光と怒号に包み込まれる。

目の前にはなぜか満員の甲子園球場があった。

そう、そこは遥か江戸時代より続く、血塗られた「地下甲子園」だったのである。

この追走劇自体が「不思議の国のアリス」を思わせる映像美にあふれており、これだけでも映画史に残る名演出だと言っても過言ではないと思う。

しかし、2時間余りの長尺の中で、このシーンに至るまでわずか20分程度しか経っていないのだ。

なんというジェットコースタームービー。

物語はさらに加速する。

意外なことに、件のキリシマについてはあっさりとネタばらしがされてしまう。

唐突に現れた事情通のおっさんによると、キリシマとはこの「地下甲子園」において無類の強さを誇る地下野球部の中でも、抜きん出て最強といわれる「絶滅投手(ジェノサイド・ピッチャー)※」だったのだ。

(※この手のすごそうな異名が多数登場するのだが、作中において説明はほとんどない。挿入される映像から、その由来を想像できるものもあるのだが、基本的に何がなんだかわからない。だが、別にそれでもかまわないと思わせられるしまうほどの迫力に本作は満ちている)

なんでもキリシマはこの時点で99戦0敗99KOという前人未到の戦績に達しており、100勝目を区切りに地下甲子園から足を洗うのではないかとの噂が冒頭の会話だったのである。

なぜそんな無敵の選手が100勝目で引退してしまうのか、そんな疑問を残しつつキリシマの試合がはじまる。

そう、キリシマの100戦目の相手とは、最も華麗なテクニックを誇るとされ、「神の手の捕手(ハンドパワー)」と畏怖される表野球部の主将だったのだ。

「お前の悲しみはここで止めてみせる!」

そう咆哮してバッターボックスに立つ主将。キリシマとの長きに渡る友情、そしてそれが因縁に変わってしまった経緯、復讐を誓った主将の辛く苦しい練習の模様(1万本のスプーンを折る、など)がインサートされ、ピッチャーマウンドのキリシマが振りかぶる。

と、ここで場面暗転。おいおい、引っ張りすぎだろ。

新たに映し出されたのは建設途中で放棄された高層ビルのフロア。不気味なシルエットの男たちがなにやら談合している。

それはなんと、地下国立競技場の絶対君主「百万の足(ミリオン・ストライカー)」と、地下有明テニスの森の百獣皇帝「情熱トップスピン(これにはルビがなく、そのまま)」を筆頭とする地下高校球技会のトップが集まる密談の場だったのだ。

会話の内容から察するに、戦後の地下高校球技界は地下甲子園に蹂躙されており、その支配を脱するべく戦いを挑むとのこと。

かくして地下高校球技界は地下甲子園に対し宣戦を布告。地下高校部活動は泥沼の抗争に突入し、やがて地下高校文化部界をも巻き込む大戦争に発展してしまう。

地下高校部活動は古くから世界の政財界に根を張っていたため、混乱は表社会にも普及。アメリカ大統領が4年で7回も交代し、日本の総理大臣は日替わり状態という史上空前の混乱に陥る。

スカイネットが暴走し、核ミサイルが世界中で暴発。宇宙からはエイリアンとプレデターがまとめて押し寄せるという事態に、人類文明は滅亡の危機に瀕してしまう。

そんな混乱の最中でもキリシマは淡々と勝ち続け、ついには不敗の1000勝という大記録が目前に迫っていた。どうやら主将はあんなに引っ張ったくせにあっさり負けた模様。あと引退の話も本当に単なる噂だったようだ。

しかし、絶好調に見えるキリシマも、地下茶道部の放った刺客に負傷を負わされて医者から出場を止められており、しかも最愛の一人娘が人質に取られていたのだった。

絶望的な状況の中、目の前に立ちはだかったのはなんとあの野球部の女子マネージャー。

8年前に無残にも敗れた恋人=主将の仇を討つために修羅へと生まれ変わった彼女とキリシマは、後世に神話として語り継がれる壮絶な死闘を繰り広げる……

と、ここまでさんざんネタバレをやらかしてきたが、さすがにあの衝撃のラストまでつまびらかにしてしまうのはさすがに興醒めなので、続きが気になる人は劇場に行ってください(鬼)。

しかし、アレがまさかアベンジャーズへの壮大な伏線になっているとは夢にも思いませんでしたね。ま、これは見た人にしかわからないと思いますが(笑)

タイトルに書いたとおり、『桐島、部活やめるってよ』は観てないし、あらすじすら知りません。

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