「全国共有電話帳アプリ」騒動に見る「利用規約に同意させたから無罪!」という誤解について


「全国共有電話帳アプリ」というAndroidアプリが物議をかもしています。(宣伝に協力するつもりはないのでリンクはしません)

絶対に入れちゃダメ!76万人個人情報流出の「全国電話帳アプリ」が「全国共有電話帳アプリ」として復活(NAVERまとめ)

このアプリをインストールすると電話帳のアップロードがされます。ここまではLINEやcommなどと一緒ですが、大きく異なるのが吸い上げたデータの取り扱いです。なんと、誰もが閲覧できる状態で公開がされてしまうのです。

このアプリの製作者は以前にも「全国電話帳」という名称で同種のアプリを発表しており、報道でも取り上げられました。

スマホアプリで76万人分の個人情報流出か 「全国電話帳」インストールに注意(msn産経ニュース)

そのため、今回はかなり早いタイミングでネット民に発見されたようで、twitterではセキュリティ研究者として名高い高木浩光(愛称:ひろみちゅ先生)が製作者に突撃するなどし、熱いバトルを繰り広げています。

全国共有電話帳事件鳥取ループ第一回尋問(togetter)
IT屋さんが「情弱死ね」っていう発想になったら、その国の情報技術は終わるよ。(togetter)

炎上と喧嘩はウェブの華、というわけで、生温かく見守っておったのですが、製作者、擁護者共に共通しているスタンスがあります。

それは、「規約に同意した以上は利用者の自己責任」というもの。

一見、正論のように聞こえますが、とくにサービス提供者がこういう理解をしていると危険です。

利用規約というのはあくまで当事者間でのみ通用する契約に過ぎません。

ですので、例えばこのサービスで知人の電話帳から個人情報が流出してしまった第三者から訴訟を起こされたりするケースは十分に考えられ、「いや、利用規約に書いてあるし」なんて言い訳が通る可能性は低い気がします。

また、いくら利用規約に書いてあり、それに利用者が同意したとしても、内容があまりにも一方的すぎると司法の場で無効とされてしまうこともあります。

利用規約・約款における免責条項の落とし穴―消費者契約法があなたの会社の免責条項を無効化する(企業法務マンサバイバル)
Webサイト上の利用規約・約款等は常に有効か?(大阪の弁護士 湯原伸一)

サービス提供者はともすると「利用規約に書いたからオッケー!」という思考になりがちですが、利用規約はそんな万能のものではありません。

サービス提供する方は、利用規約よりも一般常識が優先されると理解し、利用規約の免責事項等はおまじない程度に考えておいた方がよいと思います。


(2013/1/21追記)
思いがけずバズったので所感を書きました。
炎上、誤読、挑発。そして燃え盛りながら走り続けなければ生きられない人

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2 thoughts on “「全国共有電話帳アプリ」騒動に見る「利用規約に同意させたから無罪!」という誤解について

  1. 実に良い記事。
    契約約款なんぞ、最初からその会社や団体とでしか通用しないんだから。
    ワンクリ詐欺も同様。
    でも、確認する義務は、アクセスするほうにある。
    業者はあくまでも、それに反応した利用者にだけアクションを起こす。
    で、見なけりゃいいだけの話。それを被害者面したり、権利とか自由をひけらかすけど、それも間違い。
    確認義務はアクセスした本人にだけある。
    残念だけど、権利や自由は、まずは全ての法に従う事が前提。
    何でも自由、なんて有り得ないし、あくまでも法の下の平等、であり権利、自由。
    履き違えてる人が多いから、引っかかりやすいんだろうなあ。嫌な時代だこと。
    アメリカじゃ無いから、何でも自由で権利だ、とかは認めてもらえないんだよ。

    • おほめに預かり恐縮です。
      私もサービスを運営する側の立場で働いておりますので、自戒を込めて書いた記事でもあります。

      「公序良俗に則って…」的なお題目を唱えるほど純心ではありませんが、どうせならなるべく人を傷つけず、多くの人に幸せに使ってもらえるサービスを提供したいなあと思う次第です。

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